ある後輩の話

バイト時代の後輩の話です。 僕が学生時代にバイトしてた地元のレンタルビデオ屋は、歴代店長や社員をはじめ、バイト連中も車好きが多く、僕もそんな環境の中でより車を好きになっていったわけです。 僕が大学3年か4年の頃だったと思いますが、当時新しく入ってきたバイトのN君は、既存のバイト連中に負けず劣らず車好きでした。しかし、その時車はまだ持っていなくて知り合いに探してもらってる途中でした。バイトの通勤はチャリンコでした。 N君と色々話しているうちに、彼はドリフトが大好きで車もシルビアとかそう言った車種に乗りたがっていました。 彼がバイトを始めてどのくらい経ったか覚えてませんが、ついに車を購入しました。 緑色の180SXです。これがまた凄い車で、真っ直ぐ走りません。壊れているとかではなく、バリバリのドリフト仕様なのです。今までに何台か友人の”ドリフト仕様”の車に乗せてもらった事はありますが、あれほどの強烈な仕様はありませんでした。 バイト先の敷地内で運転させてもらいましたが、少しでもステアリングを切ると内輪が空転し始めます。もう笑っちゃう車でした。 で、彼もしばらく(僕の記憶では半月位)その車で楽しんでいたようですが、ある日彼がバイト先にチャリンコでやってきました。車はどうしたのか尋ねると、廃車になったと。 経緯を聞くと、”走り屋の先輩”に運転させたらありえない所でお釣りもらってガードレールの支柱とケンカしたらしい...。 事故現場は僕の高校の近くだったので判りましたが、こんな所でドリフトなんてしないよってトコなんですよね。近くに工業地域があって夜はドリフトスポットになるので、そこに行くかそこからの帰りでアツくなってたのかもしれません。 そんなわけで、N君はまたチャリンコ生活を余儀なくされたわけです。 しかしそれでは終わりませんでした。やはり車好きのN君、すぐに次の車を買いました。今度はS13シルビア。濃紺か黒だったと思います。また、敷地内でのみ運転させてもらいましたが今度のシルビアはフツーの車だった記憶があります。これでやっと、彼もマットウなカーライフが送れるだろうと先輩である僕も自分の事のように嬉しかったわけです。 その数日後...バイト終了後(深夜2時頃)...天気雨...。 僕は出勤ではなかったのですが、その日出勤だったバイト連中で彼のシルビアの試乗会をしたらしいのです。 当時、32スカイラインのGT-Four(フルタイム4WDなのかな?アテーサなのか判らん)に乗ってた後輩がいたんですが、彼がN君のシルビアでバイト先近辺の道を試乗した時、交差点右折時、自分の車(4WD)と同じように曲がろうとしたらしいのです。路面はウェット、車はシルビア(FR)...合掌(ー人ー)。 それから、彼らの仲は険悪になってしまいました。と言っても、N君は結構大人な考えができる人間なので、みんなの前ではスカイラインの彼とはフツーにしゃべったりしてましたが、僕とN君の二人になると色々と愚痴を聞きました。愚痴が出るのは仕方ないし、N君の気持ちを察すると僕でさえ悲しくなります。 その後、N君はまたシルビアを購入し、今度はちゃんとカーライフを満喫していたようです。 僕が就職とともにバイトを辞めてから一年位経った頃、野暮用で彼と会う時があったのですが、その時にはそのシルビアはもうオンボロになってしまったのでそのうち手放すと話してました。 更に、彼はずっとやりたかった「落語」の道を志す為にとある落語家に弟子入りすると言う話も聞きました。僕がバイトしてた頃から演劇や舞台に興味があるって話聞いてたのでそこまで驚きはしませんでしたが、落語とはちょっと意外でしたね。 彼が有名になったら寄席に行ってみようと今から楽しみにしています。

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